青森県板金工業組合

青峰山の牛鬼

作: 北村　蓮明

香川(かがわ)の五色(ごしき)台(だい)の青峰(あおみね)に、その昔(むかし)、牛鬼(ぎゅうき)という怪物(かいぶつ)が棲(す)んでいた。
頭(あたま)の上(うえ)に牛(うし)のような角(つの)が生(は)え、耳(みみ)まで裂(さ)けた口(くち)には大(おお)きな牙(きば)と鋭(するど)い歯(は)が並(なら)び、こうもりのような羽根(はね)を広(ひろ)げて自由(じゆう)に飛(と)び回(まわ)る奇(きかい)怪な化(ば)け物(もの)で、人(ひと)や家畜(かちく)を襲(おそ)い村人(むらびと)たちを苦(くる)しめていた。

牛(ぎゅう)鬼(き)退治(たいじ)を依頼(いらい)された弓(ゆみ)の名人(めいじん)、山田(やまだ)蔵人(くらんど)高清(たかきよ)は山中(さんちゅう)をくまなく探(さが)し回(まわ)ったが発見(はっけん)できない。

困(こま)り果(は)て、青峰(あおみね)の名刹(めいさつ)根香寺(ねごろじ)に詣(もう)で、ご本(ほん)尊(ぞん)の千手観音(せんじゅかんのん)に祈願(きがん)を続(つづ)けると、満願(まんがん)の日(ひ)の暁(あかつき)に、ついに牛(ぎゅう)鬼(き)が現(あら)われ、高清(たかきよ)に襲(おそ)いかかってきた。

これこそ観音(かんのん)さまのお導(みちび)きと、念(ねん)じながら弓(ゆみ)を射(い)ると矢(や)は見事(みごと)に急所(きゅうしょ)に命中(めいちゅう)、牛(ぎゅう)鬼(き)を退治(たいじ)することができたのである。

（四国巡礼第八十二番札所、青峰山根香寺に伝わる伝説）

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