に組・東芝

釈迦如来誕生天上天下唯我独尊

作: 村元 芳遠




 西暦紀元前566年4月8日、この日、釈迦如来がこの地球に出現されましたが、あまりにも偉大な聖人であったので、その誕生の逸話は実にドラマチックに仏伝として言い伝えられてきた・・・

 釈迦国の国王夫人である摩耶夫人は、コーリヤ国へ里帰りの途中、ルンビニーの園で小憩をとられた。そのとき、彼女の右脇下から1人の男児が出生した。シッダールタ太子の誕生だった。この子こそ、後に悟りを開いて仏陀となられた「お釈迦様」である。
 摩耶夫人の右脇下から出たシッダールタ太子を、しっかり受け止めるために、地上に忽然と七茎の蓮の花が咲き出した。太子はその上に降り立ち、だれの助け も借りることなく、七歩を歩まれた。そこで立ち止まり、右手をあげ天を指し、左手は地を指してりんりんと響き渡る声をもって『天上天下唯我独尊』と宣言を した。
このとき、天界の龍王が甘露の雨を太子へ降りそそいで体を洗い清めたと伝えられているが、このことは、のちに太子が「仏陀」となって、この世の人々を救済されることの、いわば予告的な宣言である。

 産道を経ずに生まれたということは、凡人とは違った偉大な聖人を意味し、七歩歩いたということは、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人天)を流転しつづける輪廻を、超越した存在であることを、象徴しているといわれます。
 現在、仏教各宗派共通の行事として一般に親しまれている「花まつり」は、ルンビニーの花園にみたてて花で飾ったまん中に、天と地を指指した釈迦の誕生仏を安置し、甘露を産湯としたという故事にならい、誕生仏に甘茶をかけて祝います。

 『天上天下唯我独尊』というこの言葉は、「目を見開いて見渡せば、どの生命もどの生命も皆、天にも地にも尊いいのちが光り輝いている」という解釈をとる学説が、わたしは好きです。
 かけがえのないいのちの大切さを、このねぶたに少しでも表現できたらと、思っています。


≪ 青森県板金工業組合 2004年の大型ねぶた紹介 青森菱友会 ≫
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