青森菱友会

猿賀権現 鬼面奉射

作: 竹浪 比呂央




 尾上町の猿賀神社では、毎年春に鬼面奉射という神事が行われている。
 延暦年中、坂上田村麿(さかのうえのたむらまろ)が蝦夷の長 大丹丸(おおたんまる)[大丈(おおたけ)丸、大嵩(おおかさ)丸とも]を討ち取り、その 首を猿賀山の森に埋めた。後にこの森は大丹森(現・小田森)と称されるようになった。この故事により、毎年正月、森にある大杉の枝に鬼の面を描いて懸け、 弓で射る行事が行われるようになったという。
 その後、大浦為信(おおうらためのぶ)公が猿賀権現(現・猿賀神社)を参詣し、祈願所にしたいと申し出で、社殿を修復された。以降正月十一日に、境内の大樹に巨大な鬼面を懸け、大きな弓でこれを射って、悪魔退散、国家安穏を祈願する祭事となったと言われる。
 現在は、その日程が崇敬会(すうけいかい)大祭の五月三日にうつされているが、祝詞奏上後、宮司により二矢放たれ、鬼面を割り、更に太刀をもって打ち砕くという神事が、古式ゆかしく行われているのである。


≪ に組・東芝 2004年の大型ねぶた紹介 青森山田学園 ≫
掲載画像の無断複写・転載を禁じます。